それはクリーム色だった。秋も過ぎ、指先がちぎれるかと思う寒さがわたしを囲むようになった。冬の空は、もっと鼠の色をしてるんだと思っていた。こんなにこっくりした脂肪をたくわえた雲と光と、そのおくにあるほどけた空。 朝、目が覚めるとわたしの恋人は…
わたしの息子には最初から父親の枠を取り払った。 わたしだけでも認可がおりるように、 国家資格を取って職に就いた。わたしの息子はかぼちゃのうらごしした離乳食を好んで食べた。 時々小さい口で咽せりそうになるので、 ずっと目が離せなかったしわたしの…
実はあたしって自分のことは滅多にブログに載せてない。ぜんぶあたしの中を透って往ったひとたちのクロニクルだから。でも今回はあたしの話。だ。 そもそも小説ってなんなんだ?あたしからしたら半分ずつあたしと小説がお互いに血肉を差し出してる。よく小説…
渋谷区初期衝動2丁目 3-2のマンション 腐って産まれてきた 不良債権のおれは すぐ前が首都高で 排気ガス吸って こんな声になって 歌をうたっています 水商売の女に食わしてもらって 好きでもないのにキスしたかった スガシカオ『おれだってギター1本抱えて田…
神さまぼくだけの水道口 神様 僕等めを抉られどサイゼで紅茶を飲め ました(スティックシュガーが古くなり固まっていたよ) バイパスには しる無数の親御サン方 がた がたがたがた ぼく羅の ミ チ はロードローラーでもー潰せずーーーー歌 になって唄 担って詩…
上を書いてからもう半年になる。依存症回復施設職員の元彼の話から再開しよう。彼はわたしの十代ラストの元彼である。 施設職員 I 当時33歳 Iさんは一回り以上離れていたし、施設お抱えの御曹司だったのでさん付けで呼んでいた。女性施設長と男性施設長が夫…
ラブホの清掃も今日で3日目だ。三連休の初日、土曜の昼間の今日は部屋を売っても売っても数秒後に埋まっていく。リーダーの60代のおじさんは心臓に持病がある。それでも、私ともう1人の新入りのために休憩をカットしてくれた。もう1人の新入りは今日が初出勤…
彼女が別な世界に本格的に移り行くようになってから、彼女と繋がる夢を何度か見たことがある。 どれも示唆的で、なのに断片的で、かといって無視できるようなものではなく私の中にずっと沈み込んでいる。 そう、今思い浮かべている夢をみた今年の3月末、私は…
ランキング参加中【公式】2024年開設ブログ ランキング参加中【公式】純日記グループ ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ 昨日の夜、調子に乗ってレコーディングしてたらAM:4:37だった。私こんな時間に隣も上も下もいるアパートで宅録してた…
今はなきフロ東で住人だった一人と再会した。上北沢駅にいつものように人間味に欠けた、私に命名された友がそこに立っていた。 2019年付近にTwitterしてたあそこらへんのみんなは、彼の名前など夢に出るほど刷り込まれているだろう。 求祈は私の故人の実父と…
16:06発の東北新幹線で大宮に行き、湘南新宿ラインに乗るとその電車は大嘘つきで新宿に停まらなかった。私は退勤ラッシュに揉まれながら東京→新宿→笹塚までなんとか辿り着いた。 これから会う4年来の友人は、自宅の掃除のレベルがどうしても己の及第点に達さ…
まず、今回は純度「100%」の実話である。 前科で殺人という罪のついた女性に恋愛感情を抱かれていた事がある。 それはわたしがまだ10代だったある年の11月〜彼女が消息を断つ翌年の2月頃までだったと記憶している。 私は「殺人」という行為について「情緒が…
今後、きちんと作品を応募したいため全文を公開することが叶わないが、いま書いている小説の冒頭部分がわたしの個人的な主張とつよく重なるため載せることにする。 こうして縦書きで表示されるだけで随分と文章の持つ雰囲気が変わることがわかる。 このブロ…
私がどうやって死に至るわずらいを回避してきたか、以下に綿密に具体的に述べるので、直接全員にずっと付きっきりで介抱することはできないが、少なくとも私はあなた方を救いたいと思っている意思だけでも汲み取ってほしい。目が滑る人は自分にとっての優先…
⚠️この日記は不思議な事に亡くなった知人が代わりに書いたと思うと全部合点がいく。トンネルで宇多田ヒカルを聴きながら元彼の死んじゃった元カノの子のことを考えた。それはそこら一帯で一番長いトンネルで、丁度終点がギリ見えるけどトンネルの外の景色は…
まえがき 今回の記事は、京大で頂き女子りりちゃんnote読書会を開いた時に「りりちゃんはどうして自身もホストクラブという搾取から逃れられなかったのか?」 という男子学生から頂いた質問に対して、きちんとアンサーを返すにはホストクラブ、および夜職に…
7から声をかけられた時、最初の一言は「チョコレート味のタバコ、吸った事ある?」だった。 私は当時、精神病院を抜け出して制限時間内に戻ってこれるセブンで買う、所謂“普通”のタバコしか知らなかった。 「いや、無いけど。どこで吸えるの?」 「ここで吸…
16歳、ニコ動で唯一お気に入りにしていた歌い手とインターネットの海で偶然の再会を果たす。彼は自身のアカウントを綺麗さっぱり消してしまっていたから、とにかく嬉しかった。 450フォロワーくらいだったそのアカウントは、以前の名前とはまったく異なる…
興味対象にされるか、研究対象にされるか、異物を見つめる目で見られるか。 大体がこの3つで収まる生き方だった。 私は0から何かを産むのがなかなか出来なくて、私が書く小説も偶に描く絵ももっと偶に書く詩も、全部が自分の今までこの2つの眼で視て識って…
あんなに全てがあって全てを剥ぎ取られたのに、私の全部の組織とレツが癒着し過ぎていたせいで、流れ続けるものが血なのか涙なのか髄液なのかはたまた他の体液なのかもわからないくらいだったあの裂け目を、私は未だにきちんと理解できてないんだと思う。 た…
あー君彼氏居ないの?ダメダメ、売れる子は常に彼氏いるから、と先日勤め先の社長の阿保面の男に曰われた。 さて、私の恋愛遍歴を振り返ろう。今は交際相手は居ないが虹彩が無いとは言わせないぞ、という堅い意志とともに。 かつて私は酷い恋愛体質に冒され…
森で10人以上で鬼ごっこ等で遊び、 夜に屋上で語らい、バーで乾杯して熱い思想に痺れ、 旧い木造建築の中でセブンのケーキを食べ、蚊取り線香を面で燃やし、 キュビズム展のポストカードを貰い、作者の生存年数の暗算ができずに4つ下の男子学生にプレゼンを…
私が、父親の眠る場所を喪失したことを知ったのは 世界一汚い世界で生きていた時だった。 私の生まれた2002年6月13日の約2ヶ月後、父親(以下、ゆうじパパ)が彼の実家で不審死という形で故人となった。 私の記憶は1歳~しか思い出せないため、ゆうじパパの…